合同会社(LLC)の本店移転・会社移転手続きについて
法務局の管轄内での移転 or 管轄外での移転によって書類も費用も変わる
法務局には管轄区域がありますので、合同会社の本店を移転する場合はまず法務局の管轄区域が変わるのか、変わらないのかを確認することから始めましょう。
同じ法務局の管轄区域内で移転することを「管轄内移転」、法務局の管轄区域が変わる移転を「管轄外移転」といいます。
管轄内移転か、または管轄外移転かによって、移転手続きに必要となる書類の種類や登録免許税の額が変わります。
※こちらのページで法務局の管轄を調べることができます。→法務局:管轄案内ページ
このページでは、管轄内移転・管轄外移転の手続きについて解説いたします。
管轄(内)移転に必要となる手続きの流れ・書類・登録免許税
管轄内移転に必要となる手続きの流れ
1.社員全員の同意(※定款変更が必要な場合)
定款に記載されている「本店所在地」を変更する必要がある場合は、原則社員全員の同意で定款変更を行います。
例えば、定款に「本店を東京都渋谷区に置く」と定められていて、移転先が同じ渋谷区内であれば定款変更は必要ありませんので、総社員の同意は不要です。
もし、「本店を東京都渋谷区に置く」と定められていて、移転先が「目黒区」であった場合、法務局の管轄は変わりませんが、定款を「本店を東京都目黒区に置く」と変更しなければなりませんので、総社員の同意で定款変更の決議を行います。
総社員の同意を得たら「同意書」を作成します。
2.業務執行社員による具体的な所在場所及び移転日の決定
具体的に移転先をどこにするのか、移転日をいつにするのか、を業務執行社員で決定します。
業務執行社員が複数名いる場合は、業務執行社員の過半数をもって決定します。
もし定款に別段の定め(例えば、業務執行社員の全員で決定するなど)があれば、その定めに従って決議を行います。
業務執行社員で具体的な移転先・移転日を決定したら「決定書」を作成します。
3.法務局で登記申請
総社員の同意書、業務執行社員の決定書、登記申請書を作成したら、法務局へ本店移転登記申請を行います。
管轄内の本店移転の場合、現在の管轄の法務局へ登記申請を行えばOKです。
管轄(内)移転の必要書類
- 総社員の同意書
- 業務執行社員の決定書
- 本店移転登記申請書
- 登記すべき事項(別紙)
- 登記委任状(代表者以外の代理人が申請する場合)
管轄(内)移転に必要となる登録免許税
登録免許税 30,000円
管轄(外)移転に必要となる手続きの流れ・書類・登録免許税
管轄(外)移転に必要となる手続きの流れ
1.社員全員の同意
管轄外の本店移転の場合は、まず始めに総社員の同意によって定款変更の決議を行います。
例えば、定款に「本店を東京都渋谷区に置く」と定められていて、移転先が「神奈川県川崎市」であった場合、定款を「本店を神奈川県川崎市に置く」と変更しなければなりませんので、総社員の同意で定款変更の決議を行います。
総社員の同意を得たら「同意書」を作成します。
2.業務執行社員による具体的な所在場所及び移転日の決定
具体的に移転先をどこにするのか、移転日をいつにするのか、を業務執行社員で決定します。
業務執行社員が複数名いる場合は、業務執行社員の過半数をもって決定します。
もし定款に別段の定め(例えば、業務執行社員の全員で決定するなど)があれば、その定めに従って決議を行います。
業務執行社員で具体的な移転先・移転日を決定したら「決定書」を作成します。
3.法務局で登記申請
総社員の同意書、業務執行社員の決定書、登記申請書を作成したら、法務局へ本店移転登記申請を行います。
管轄外の本店移転の場合は、現在の管轄の法務局(旧本店)と移転先の新しい管轄の法務局(新本店)へそれぞれ登記申請を行わなければなりません。
そのため、登記申請書を2枚用意する必要があります。
登記申請書は現在の管轄の法務局(旧本店)へ2件まとめて提出します。新しい法務局にわざわざ登記申請書を出しに行く必要はありません。
また、新しい法務局へ改めて法人の印鑑を登録しなければなりませんので、登記申請と同時に印鑑登録の届出も行います。
これに伴って、法人印鑑カードも新しく発行されます。
管轄(外)移転の必要書類
- 総社員の同意書
- 業務執行社員の決定書
- 本店移転登記申請書(旧本店所在地分)
- 本店移転登記申請書(新本店所在地分)
- 登記すべき事項(別紙)
- 登記委任状(代表者以外の代理人が申請する場合)
- 印鑑届出書
- 印鑑カード交付申請書
管轄(外)移転に必要となる登録免許税
登録免許税 60,000円
定款変更について
本店移転をする場合、必ず定款変更が必要になるのでしょうか?
定款には「本店の所在地」が記載されていますが、ほとんどの会社では「最小行政区画」までが記載されていると思います。
最小行政区画とは、例えば、「本店を東京都中央区に置く」「本店を横浜市に置く」等、必要最小限での記載方法です。
この場合、東京都中央区から世田谷区に移転するのであれば、定款を変更する必要があります。
横浜市内から同じ横浜市内へ移転するのであれば、定款を変更する必要はありません。もちろん横浜市以外へ移転するのであれば、定款変更にあたります。
つまり、定款の記載方法によって定款変更の要・不要が異なるのです。
法務局の管轄内の移転であっても、定款の記載内容によっては定款変更が必要ですし、管轄外に関しては必ず定款変更が必要になります。
合同会社の本店移転手続きに関する注意点
【移転先の住所について】
移転の際に注意することは、移転先の住所に同じ会社名(商号)が存在していないかということです。
移転先の住所に同じ会社名が存在しなければ、問題なく登記できます(ここで言う商号とは合同会社○○や△△合同会社の○○・△△を言います)が、同一住所に同じ会社名を登記することはできません。
もし、移転先が戸建てなど個人の自宅であれば同じ名前の会社が存在することはまれですが、移転先が集合住宅やビルの一室、バーチャルオフィス、レンタルオフィスであれば、同じ会社名がすでに登記されている可能性はありますので、注意してください。
移転先の登記する住所は会社が任意に定めることができます。
例えば商業ビルの住所が「東京都●●区●●町●番●号」だったとします。
あなたの会社が3Fの301号室に移転する場合、
- 東京都●●区●●町●番●号
- 東京都●●区●●町●番●号301号
いずれの表記でも登記は可能です。ビル名や部屋番号を入れるかは任意で決めることができるからです。
301号室で同じ会社名が存在することはないと言えますが、部屋番号まで登記していない会社が他にあれば、同一住所同一商号になる可能性は残ります。
50~100社以上入居する商業ビルは珍しくありませんし、バーチャル・レンタルオフィスの場合も同様です。規模感のあるオフィス貸し出し会社ですと、数十社の会社が同じ住所で登記されていることもあり得ます。
移転先の住所に同じ会社名が存在しないかどうかは、インターネットからでも確認できます。管轄内移転・管轄外移転、どちらの場合も商号調査は事前に行っておきましょう。
弊社に本店移転の手続きのご依頼頂いた場合は、商号調査は当方にて承りますので、安心してご相談いだだければと思います。
【本店移転登記後も各種手続きが必要です】
合同会社の本店移転を行う場合、移転手続きは法務局だけではありません。
まずは、税務関係の手続きを行います。税務所・都道府県税事務所・市区町村役場へ異動届を提出します。
次に、社会保険・労働保険関係の手続きも必要です。年金事務所、労働基準監督署、ハローワークに所在地変更届を提出します。
また、従業員を雇っている場合、市区町村役場へ給与支払者(特別徴収義務者)の所在地変更届も必要です。
その他、許認可事業(例えば建設業)を営んでいる合同会社であれば、許可を申請した役所へ異動届が必要となりますので、確認しておきましょう。
社用車を保有している場合は車検証の書き換えが必要です。車庫の変更が伴う場合は、新たに車庫証明書を取得した上で車検証の書き換えを行います。
法務局で移転登記が完了した後に新しい登記簿謄本が取得できますので、それを添付書類として関係各所へ手続きを行います。
その他、銀行などの金融機関、クレジットカード会社や保険会社へ契約者情報の変更を行います。もちろん、取引先への周知も必要です。
なお、税務関係や社会保険関係の届け出は顧問税理士若しくは顧問社会保険労務士がいらっしゃる場合は、代行してくれると思いますので、本店移転手続きの前に確認をしておくと良いでしょう。
顧問税理士さんがいらっしゃらない場合は、こちらのサイトからご紹介も可能です。ご紹介は無料です。→全国税理士紹介センター
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