合同会社の給与や役員報酬の支払い
合同会社を設立すると、当然ですが会社で働く従業員に「給与」を支払わなければなりません。
給与には、毎月の給料やボーナス、残業手当や通勤手当の他、職能給など職務の内容によって支払われるもの全てが含まれます。
会社から従業員へ支払われる「報酬=給与」です。
また、給与は原則的に現金で支払われますが、自社製品を現物で支給する場合も給与の対象となります。
毎月の基本給が「給料」、給料プラス各種諸手当が「給与」と覚えておきましょう。
そして、この「給与」には所得税がかかります。
所得税は従業員一人一人が国に納めるのではなく、会社が給与を支払う際に予め所得税分を差し引いて給与を支払い、後日会社がまとめて税務署に支払うことになります。
これを「所得税の源泉徴収」といいます。
この差し引いた所得税は原則、給与を支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。
合同会社を一人で運営しているのですが?
ところで、合同会社は一人で設立される方も多く、設立当初は従業員はゼロ、「役員1人だけ」の会社も多いです。
(※合同会社の役員とは、「業務執行社員」や「代表社員」を言います。)
会社で働く従業員に給料等の報酬を支払いますが、それと同様に、役員にも報酬を支払います。
この会社の役員に対して支払われる報酬を「役員報酬」といいます。
一人会社の場合、あなたが会社の役員ですから、給与ではなく、役員報酬を受け取ることになります。
役員報酬はどうやって決めるのか?
役員報酬の金額は定款で記載がなければ、原則、毎年の定時社員総会で決定します。
役員報酬は、毎月同じ時期に、毎月同じ金額を支払うのが原則(定期同額給与)です。
そして、事前に税務署に届出をして、その届出の内容通りの金額を支給しなければなりません。
もし、期中に役員報酬を増減させて支払ったりすると、会社の経費(損金)として認められなくなりますので、注意が必要です。
従業員に払う給与と比べて役員報酬には、税務上様々な制限があります。
経費として認められる範囲で、報酬額を定めなければなりません。
役員報酬をいくらに設定するかで、支払う税額も大きく変わってくるのです。
税務署への役員報酬等の届出は、慎重かつ確実に行わなければなりません。
合同会社の設立と同時に、売上・経費・利益額のシュミレーションを行い、それに対応した役員報酬を設定する必要があります。
「役員報酬や給与なんて、売上が多く上がった月に、会社口座から適当に抜いておけばいいでしょ?」
と思ってらっしゃる方もいると思いますが、あまりにも安易です。十分に注意してください。損金算入できません。税額が大きく変わってきます。
申告時期になってから、とんでもない金額の税金を支払うことが判明しても、時すでに遅しなのです。。後から帳尻を合わせることはできません。
役員報酬の設定は、合同会社設立直後から、顧問税理士さんと入念なシミュレーションを行った上で行う必要があります。
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社長(代表社員)の報酬を使った節税方法があると聞いたのですが?
前述の通り、役員報酬は、会社の経費となりますから、社長への役員報酬を高く設定すれば、その分、会社の利益は減ります。
当然、節税にもなります。
「それなら簡単!社長の役員報酬を上げれるだけ上げよう!」とお考えになる方もいらっしゃいますが、一人会社(オーナー会社)の場合は、そう単純ではありません。
役員報酬を高く設定しすぎてしまうと、逆に損をすることもあります。
会社の利益には法人税が課されます。役員報酬を高く設定することによって、法人税の納付額を減らせたとしても、社長個人には所得税が掛かってきます。住民税も上がりますね。
さらに社会保険、介護保険等も所得に連動していますから、当然、役員報酬を高く設定すれば社会保険料や年金額の等級も上がります。
合同会社の利益にかかってくる「法人税」と、社長個人にかかってくる「所得税等」は社長個人の手取り額に大きな影響を及ぼします。
一人会社の場合、手取り額が増えなければ、意味がありません。会社の利益と社長個人の報酬額のバランスを考えなければなりません。
手取り額を増やすこの絶妙なバランスを取るのは税理士等の専門家でなければできません。社長個人は、本業もありますし、忙しい身です。適正な役員報酬額を決定したり、年度末に自分で決算を組むのは、まず難しいです。
こうした点も踏まえた上で、税理士さんと役員報酬のシュミレーションを行い、最適な報酬額を決定しましょう。
顧問税理士さんがいらっしゃらない場合は、弊社の提携企業が税理士の無料紹介サービスを行っておりますので、お気軽にご利用ください。
ご面談・ご相談も無料です。→全国税理士紹介センター
家族を役員にしたら節税になると聞いたのですが?
合同会社などの小さな会社では、家族の方を従業員として給料を支払っている場合が多いです。
従業員として給料を支払うよりも、役員に就任してもらい、労務の対価として役員報酬を支払う方が節税になるケースがあります。
役員報酬に掛かる所得税。所得税は所得に応じて税率が大きくなる累進税率を採用しています。合同会社のような小さな会社の場合、代表者一人に高額な役員報酬を支給するより、家族役員に分散して報酬を支給する方が、世帯全体としての税金を考えた場合、節税になります。
多くの合同会社では、社長の奥様を役員として登記し、役員報酬を支払っています。
奥様に報酬を支払う形にしても、夫婦ですから世帯が同じなので、社長個人に報酬を払っても、奥様に報酬を払っても、世帯収入は変わりません。
社長個人に年間1000万円の報酬を払うパターン。社長に年間600万円。妻に400万円。詳細額は割愛しますが、前者の方が所得税と住民税が高くなります。前述の累進課税の関係でですね。
その他にも、妻も社会保険に加入できるので、第3号被保険者でいるよりも、将来の年金額が増えます(もちろん、保険料(支出)も増えますが)。
ただ、こちらも顧問税理士さんとの念入りなシュミレーションが必要になります。家族を役員に入れる方が節税になるのか、それとも、従業員のままの方が結果として節税になるのか、顧問税理士さんに相談してみてください。
社長(代表社員)や役員への賞与は経費になりますか?
なりません。
役員報酬と役員退職金は経費となりますが、役員賞与、いわゆるボーナスについては経費になりませんから、注意してください。
ですから、社長については、極力、賞与ではなく役員報酬という形で支払うようにすると良いでしょう。
役員報酬の決め方に関して更に詳しく調べてみたいという方はこちらのページも参考にしてください。→役員報酬の賢い決め方と節税対策8つのポイント(弊社の別サイトにジャンプします)
まとめ
当サイト運営者の行政書士法人MOYORICも役員3名が在籍する法人ですので、もちろん顧問税理士さんと相談の上、役員報酬の額を決めています。
個人・法人の社会保険料負担、個人・法人の所得税及び法人税負担、賞与額、その他売上や経費等を総合考慮し、税額をシュミレーションした上でそれぞれの役員報酬額を設定しました。
税理士さんを顧問に付けると様々なメリットがあります。法人設立当初は売上が上がるか不安でしょうし、月額顧問料を毎月支払っていけるか不安に思われるかもしれません。
それでも、毎月の会計を見てもらい、決算も安心して任せられる。無駄な税金や社会保険料を払わずに済むのであれば、税理士さんへ支払う顧問料など安いものだと思います。
最後に、顧問税理士さんを付けるメリットの解説もしておきますので、よろしければ参考にしてください。
当記事がお役に立てれば幸いです。
【当ページの情報のご利用に関して】
当ページは、合同会社設立等、起業手続きに付随する税務会計等の情報として、提供、公開しております。最新の税務・税法等に関するご判断及びお手続き、並びに具体的な税額等の計算については必ず、貴社顧問税理士にご相談の上、行って頂きますようお願い申し上げます。
顧問税理士がいらっしゃらない場合はこちらのサイト(全国税理士紹介センター)よりご紹介も可能でございます。
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